ミリオンラバー
照れ臭そうに小暮は頭をかいた。

その様子に小手川が吹き出した。

「なんだよ。何がおかしいんだ!」

「いや、悪い。なるほどなと思って」

なるほど?何がだ?

「坂梨さんや光本が懐くわけだよな」

「はあ?」

懐かれた覚えはないが…

「礼なんかいいよ。俺だってマジで小暮のこと疑ってたし。
庇うつもりで言った事じゃないんだよ。
どうやってお前を追いつめようか考えてたんだよ」

「……そんな事考えてたのかよ…」

「悪いな。お前が思うほど俺、真面目でいい奴じゃないから」

だから礼は言うな。

そう言われるとこれ以上何も言えなくなる。

「小暮、怒ってないのか」

「怒る?何で」

「クラスから何の謝罪もないだろ。疑ったことに対して」

「ああ。今更いいよ。俺も悪かったし」

「そうか」

言いながら小手川は笑った。

「なんだよ」

「いや、話してみないと分かんないなと思ってな」 

その意味を聞きたかったが、小手川は行くか、と言って先を歩いた。

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