ミリオンラバー
「小手川!」

小暮が呼ぶと、数歩前を歩いていた小手川が振り返った。

「どうした?小暮」

愛想のいい顔で小手川は言った。

「いや、まだ礼言ってなかったから」

「礼?なんの?」

「いや、こないだ文化祭費がなくなったって騒いでた時のこと」

小手川は怪訝な顔をした。

「もっと分かんないよ。礼を言われるようなことはしてないだろ」

むしろクラス全員謝罪すべきだ。

「まぁそうだけど。一応お前、中立の立場でいてくれたし」


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