姫はワケあり黒猫様
他言無用だから…
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「おい」
……偉そうに「おい」と言っちゃうこの人は、龍黎の倉庫の入り口で仁王立ちしてます。
……私の隣で。
『煉、居る?』
そこら辺に居るメンバーの子に聞くとビクビクしながら「はい」と答えた。
……やだ、私、怖がられてんの?
「何の騒ぎ~?」
前の扉から出てくる、車の中に乗っていた人。
パチっと目が合って思わず逸らす。
「あぁ!煉の姫ちゃんだ!」
「何言ってんの?亮太郎」
「あれあれ」
亮太郎というらしい彼は後ろから出てきた例の茶髪。
「……煉、煉、来た」
茶髪は部屋に向かってそう叫び、私達に目を向けた。
「連絡してくれればよかったのに」
遠くから近寄って来た2人は前に会った時より少し清々しい雰囲気を纏っていた。
「……那琉か。何しに来たんだ?」
ふわりと前に現れた煉はニヤリと笑いながら私の頬を両手で包んだ。
『面倒くさかった。
あと、サプライズ』
「……その様子だと認めたようだな」
私から視線を外した瞬間、私の頬を包んでいた両手が払われた。
『玲…』
「気安く触れんじゃねぇ」
ギロッと煉を睨みつける玲はすごく不機嫌そう。
「ぎゃはは!
2人の総長に溺愛されてんのか!姫ちゃんも大変だな!」
亮太郎さんは笑いながら煉の肩をバシバシと叩いた。
「いってぇな」
煉は機嫌悪そうにその手を払う。
「…改めて、龍黎を蒼月の傘下と認める」
玲は私の肩を抱きながらそう言った。
ピン、と空気が張り詰めて静寂が辺りを包んだ。
「……フッ。
んじゃぁ、那琉ともよく会えるな」
ニヤリと意地が悪そうに笑う煉。
『煉は意地悪だからヤダ』
そう言うと後ろで数人が笑ったのと玲が鼻で笑ったのが聞こえた。
「……てめぇ、覚えとけ」
ギロッと睨んだ煉は首に手を回しながらもう片方の手で私の腕をつかんだ。
『は?』
「ちょっとこいつ借りまーす」
『ちょぉ、待っ』
皆が呆気にとられてる間にさっさと煉は部屋に入った。
前とは違う、ソファなどが置いてある部屋。