姫はワケあり黒猫様
ガチャ、とノックなしに理事長室の扉を開ける洸は少し顔が強張っていた。
「…洸、サンキュ」
「あぁ………」
『………せーちゃん、』
「久しぶり、那琉」
ニコッと笑うせーちゃんは普段と何ら変わりないのに、どこか悲しそうに見えた。
『………そのまま本題に入って』
洸と一緒にソファに腰掛け様にそう言ってせーちゃんを見つめた。
せーちゃんはグッと喉を揺らしてから口を開いた。
「…期間が、早まった」
何となく予想できていた言葉。
それになるべく軽く頷いた。
『成音?』
「……海外の交渉が後を耐えなくてな。
流石に那琉抜きだとキツい…らしい。
それに、下の奴等も成音が居る限り何も言わないが、不満も不安も溜まってきてる。
これ以上放っておくと…壊れる……」
『……そっ、か』
静かに目を閉じて顎を引く。
そっか。
ずっと、成音は我慢しててくれたんだ。
ごめん、ごめん。
知らなくて、ごめん。