姫はワケあり黒猫様
「終業式は面倒くさいから嫌いだ〜」
紅羅は項垂れながら大声を張り上げた。
「うるせぇな、羽間。
それは教師である俺への嫌味か?」
口を引き攣らせる洸は、こころなしか疲れて見える。
「那琉、今日理事長室行ってやれ」
『…………何で?』
「お話があるんだってサ」
チラっと私を見た洸の目が、“仕事の目”だったとわかり黙って頷いた。
「えー?
じゃぁ那琉今日倉庫来れない?」
響はなるべく明るいトーンで言葉を発した。
少なからず、私が急に呼ばれた事が知り合いでも引っかかるだろうから。
『………うん。』
「帰りは誠也が行ってくれる。」
洸がそう言った途端玲が洸を睨めつける。
「………何だ?クソガキ」
洸の挑発的な発言に玲はガタンと立ち上がったが、慌てて佳祐と遠矢が止める。
「………大丈夫だ。
俺と誠也も若ぇ頃はソッチに居た」
ボソッと呟いた洸の言葉に教室中シンと静まり返った。
『………ごめん、洸』
「別に?
んじゃ、終業式は9:50から。それまでに個々体育館に向かう様に。
那琉は俺と一緒に来い」
そう言われて立ち上がるとぱしっと腕を掴まれた。
いたっ。地味にいたっ!
その腕を辿ると玲だった。
『何?』
「………」
『大丈夫。
終業式終わったら帰りだから、皆そのまま倉庫に向かって?』
笑ってそう言うと、玲は不満気にだけど手を離してくれた。
『バイバイ』
手を振ると皆も振り返してくれた。
待ってくれていた洸の後ろを着いて行った。