姫はワケあり黒猫様
教室には既に、紅羅と夕季、遠矢が居た。
「皆マジメ~」
優はケラケラと笑いながら席に座る。
遠矢がその言葉に怪訝な顔をして優を見つめる。
「別に、マジメじゃないよ。
ただ、留年かかってるし……色々面倒になるの嫌だから」
「ま、そんなこったろーねー」
優は笑いながら机に頬杖をついて欠伸をする。
『ダルい……』
「同じく」
紅羅はガムを噛みながら私を横目に見て滑舌悪くそう言葉にする。
『紅羅って…普通の頭だよね?』
「ま、そこそこ~」
ぎゅむぎゅむと可愛らしくガムを噛む紅羅に少し危ない感覚を持ったが、微笑ましく凝視していた。←
『洸おっそ』
「教師にも準備があるんだよ」
響は煙草を吸いながら私を見て笑った。
「おー、お前ら勉強したかー?
このテストは留年がかかった年に1回のテストだぞー。
勉強頑張ったか?」
洸は明るく言いながら維持の悪い笑みを口元に浮かべながら沢山のテスト用紙を教卓にばさっと置く。
「んじゃ、くばんぞー。
カンニングなんてしたら殺すからなー」
冗談にならない冗談言ってる教師が、目の前に居ます。
教育委員会に言ったろか、不良教師‼
そんな洸の人生を台無しにしようとしている思考をしてると、洸は不意に私を見てニヤリと笑った。
「夕季、お前那琉に勝負挑んだみてぇだが、今のうちにやめとけ。」
「何でっすか。
何も勉強してないバカ女なんかに……」
「那琉はバカ女じゃねぇよ」
がははっと笑いながら顔を片手で覆い隠す洸の指の隙間から見えた目は
悲しげに揺れていた。
「よーし、テスト用紙配るぞ」
洸はパッパと9教科全てのテストを私達に配った。
どうやら、全てを一気にするらしい…
時間たりねぇだろ、他の人にとっては。
「はい、よーいどん」
お前、教師やめろよ。
そんなことを思いながら問題にシャーペン一本で挑んだ。