姫はワケあり黒猫様
テスト、片付け……何故に?
『ありがと……』
お礼なんて言えるような運転じゃなかったけど。
「何だよ、スピード落としてやってたのにお前がスピード出せっつったんじゃねぇか」
『違う!
“もう少し速度あげていいよ”って言ったの‼
無茶苦茶運転しろなんて一言も言ってない‼』
「吠えるな」
『言ってるの‼』
怒鳴ると、登校している生徒が何事かと私と玲を見る。
まぁ、ここは目立つ校門なワケで。
『もー……テスト中リバースしてやる』
「するな。
異臭が漂ってきたらテストに集中できん」
『……元々集中なんてしないでしょ』
「まぁな」
バイクを下りることはなんとか出来て、地に足が付いた時へたり込んでしまいそうなほど腰が抜けていた。
『あー、怖いわぁ』
「……」
『何も言わんのかい……』
玲はバイクを校門の傍にある駐輪場に置いてキーを抜き、私と共に校舎に歩き出した。
『玲は頭いいの?』
「…まぁ」
『そっかー、遠矢は頭よさそうだし、響と紅羅は普通そうー。
んで、佳祐と夕季はアホ。』
「……まぁ、大方あってる」
『フフフ………』
楽しい雰囲気は、後ろからの突進でぶち壊された。
「那琉~。
ちゃんと勉強したか?」
『え゛………「響、離してあげなよ」
優が困った様な笑みを浮かべながら響の
肩に手を置く。
「はいはーい。
で、勉強した?」
大きな目を細めて妖艶に微笑む響。
『………あははは…』
「………わかった、わかった。
いいよ。うん。」
優は察したのか私の頭をポンポンと撫でた。
『………』
「まぁ、出来る限りをやればいいさ」
………皆、私のことバカだと思ってる?
『………ふ、ふざけんなぁぁぁあ‼』
3人はビックリしたようにわたしを見て訝しげな表情をする。
『私、別にバカじゃないんだからね?!』
「わかった」
玲は棒読みながらに鬱陶しそうに返事をする。
それにイラつきながら、ふんっと鼻を鳴らして校舎に1人、歩き出した。
その後を3人もついてきてたけど……