あなたが教えてくれた世界



今のような自分が行って、アルディスのためになるのだろうか……?


その時彼女は、木の葉が風に揺れる音の中に、かすかに足音を聞いた。


(誰……?)


その足音がまっすぐ自分を向いているようなので、オリビアは不審に思って振り向いた。


近付いてくる人影と目が合う。


「──やっぱりオリビアだ。君だと思った」


「……ハリス?」


その人影に、オリビアは怪訝そうに声をかけた。


彼がはっきりと顔のわかる距離に来たとき、オリビアはもう一度声をあげた。


「……ハリス!!久しぶりじゃない!!」


そこにいたのは、背も伸びて印象も変わっていたので一瞬わからなかったが、間違いなく彼女の幼なじみのハリス・ル・アルコンだった。


ハリスとは、彼女が母親と別れる前からの知り合いである。


二人が5歳にもなっていない頃、ちょうどこの場所で出会ったのだ。


それから彼女が働くようになってからもちょくちょく遊んだり話したりしていたのだが、ちょうど二年ほど前からお互いに忙しくなり、会いもしなくなっていた。


が、オリビアは、久々に見る彼の顔が優れていない事に気付いた。


「……どうしたの?ハリス」


彼は話し出した。


「実は今、ある貴族の令嬢のプラニアスへの留学の護衛を命令されてね……」


「え?」


「どこかの子爵の令嬢が、勉学のためにプラニアスに留学に行くらしい。そこまで送り届ける事を命令されて……」



オリビアはあっと呟いた。


「それ、アルディスの事よ」



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