ハピバ【短編】
少し見えた女の人の横顔は、間違いなく図書室にいた女の人だった


あの人は…知ってるの…?


彼の笑顔が頭に浮かんだけど、それはすぐに消えてしまった…


あたしはぐっと唇をかみしめて、遠くなる二人の後ろ姿を見つめていた









『絹子ー先輩にすっごい美人で、ストレートロングの人知らない?』

学校に着いて早々あたしは絹子の机に向かった


絹子はあたしの一番仲良い友達で、人間観察が趣味の人だから、関わりのない人ですら覚えてたりするんだよね~!あたしは逆に、同じクラスの人すら覚えてないけど…


『それって薩摩先輩じゃない?』

『えっ?芋じゃなくて、人だよ』

『いっぺん死んでこい(怒)』


絹子は机に足を乗せて、あたしのリボンを掴みあげた

絹子ちゃん…あたしをホントに殺す気!?




『でっ、薩摩先輩がどーかしたの?』

『ん…その薩摩先輩って彼氏いる?』

えー…っと、と言いながら、スカートのポケットから小さいノートを取り出す

一体何が書いてあるんだろう…



絹子はそのノートをペラペラ捲りながら


『あっいるいる!サッカー部のキャプテンの倉田先輩だよ。先週から付き合い始めたらしいね』

『先週!?』

あたしは思わず立ち上がった

先週はもう彼を見なくなっていた時だ…




『ねぇ…もう一つ聞いても良い?』
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