bloody mary
『結婚詐欺で訴えるとか、無理だろ。
婚約者だなんて認められねぇだろ。』
そう思ったヤツ。
残念、そーでもねぇンだよ。
ハンバーガー大国は、同時に訴訟大国でもある。
そんなバカなと思うような理由で、訴えられたりするンだよ。
勝ち負け以前に、コレは非常にマズい。
俺、身分証明からナニから全部偽造だもん。
司法が介入してくりゃ、さすがにバレんだろ。
かといって、あの女を消すことも出来ない。
衆人環視の下、痴情の縺れを演じちまったから、女が姿を消せば真っ先に疑われるだろう。
警察が介入してくりゃ、さすがにバレんだろ。
どっちにしろ、バレたところで逃げ切る自信は大いにある。
だが、どーせ逃げるなら。
豪勢な人生を五回繰り返せるだけの金も、蓄えたし。
「なぁ、アンジー。
俺、一回日本に帰るわ。」
「え?! 日本はイヤよ!!
バカンスなら南の島にでも…」
「イヤなら来なくてイイ。
金はやるから、好きなトコ行けよ。」
「…どうして日本なの?」
「読み残してきたマンガ、制覇しなきゃなンねーから。」
「‥‥‥‥‥そんな理由で?」