bloody mary

『ブラッディマリー』
『死神』

そんな呼称に逃げる気はない。

俺は人殺しだ。

今までソレを誇りにしたコトはないが、恥じたコトもない。

なのに…

なのに今、無性に怖い。

ついさっき人を…
それも、自分の父親を殺してきたと知ったら、菜々の瞳は俺をどう映すだろう?

一片の曇りも穢れもない、その清らかな瞳は‥‥‥


(…
今更だろ?)


ナニカを振り払うように小さく首を振る。

してきたコトは変えられないし これからも、俺は変わらない。


「俺、おまえの親父を殺ってきた。
だから『ありがとう』なんて言うな。」


マリーは唇の端だけで皮肉に微笑みながら、もう一度菜々を見た。

そう、これが俺だ。

誰かの命を奪ったって、ナニも感じない。

フツーに笑うし、メシも食うし 漫画も読む。

おまえが軽蔑しようが、怖がって泣き叫ぼうが、これが俺だ。

どうだ?

もうおまえは、俺に向かって手を伸ばしたりはしないだろう?

< 275 / 464 >

この作品をシェア

pagetop