bloody mary
『ブラッディマリー』
『死神』
そんな呼称に逃げる気はない。
俺は人殺しだ。
今までソレを誇りにしたコトはないが、恥じたコトもない。
なのに…
なのに今、無性に怖い。
ついさっき人を…
それも、自分の父親を殺してきたと知ったら、菜々の瞳は俺をどう映すだろう?
一片の曇りも穢れもない、その清らかな瞳は‥‥‥
(…
今更だろ?)
ナニカを振り払うように小さく首を振る。
してきたコトは変えられないし これからも、俺は変わらない。
「俺、おまえの親父を殺ってきた。
だから『ありがとう』なんて言うな。」
マリーは唇の端だけで皮肉に微笑みながら、もう一度菜々を見た。
そう、これが俺だ。
誰かの命を奪ったって、ナニも感じない。
フツーに笑うし、メシも食うし 漫画も読む。
おまえが軽蔑しようが、怖がって泣き叫ぼうが、これが俺だ。
どうだ?
もうおまえは、俺に向かって手を伸ばしたりはしないだろう?