bloody mary

その後俺は、無邪気に俺を慕ってくれる妹のような存在まで手に入れた。

俺の世界は、今度こそ本当の愛と喜びに満ちた。

毎日が楽しかった。

大好きなマリーと菜々に囲まれて。
笑ったり泣いたりして。

生まれてからずっと、こんな風に暮らしていたような気がしてたンだ。

だから…

気が緩んでしまっていた。

日本には、俺を殺したい人がいる。
だからマリーと菜々の前以外では、偽りの姿を貫いていた。

でもさー…
たまに忘れちゃうンだよ、ね。

楽しく騒々しい生活の中で、色々なコトが起こって。

男のまま部屋を飛び出したり。
男のまま部屋を飛び出したり。
男のまま部屋を飛び出したり…

ハイ、ただの不注意デス。
オソマツ。

でもそのくらい、そのままの俺でいてもイイと勘違いするくらい、シアワセだったンだ。


「‥‥‥安藤くん…?
ほんとに、安藤くん…なの?」


俺のまま部屋を飛び出してコンビニに駆け込んだある日、背後から優しい声がした。

振り向けばそれは、逃げ出した過去からの声だった。

俺を空っぽの俺に戻す、彼女の声だった。

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