月灯りに照らされて
就職
薫と別れてから、翠は、毎日、泣いて暮らしてた。

そんな翠を心配して、毎日、陽菜が訪ねて来た。

「ほら、また泣いてる・・・。全くもう!泣いてばかりいたって
 先に進まないんだからね!ほら、ご飯、買って来たから、食べよう。」

「ありがとう、陽菜・・・」

「本当に、翠は、人が良すぎるよ!翠は、橘に利用されたような
 もんじゃない。大変な時にだけ、都合よく翠を利用して。
 で、金持ちの娘と結婚が決まったからって、はい、さようなら!
 って、どういう事よ!私は、絶対に橘家を、許さないからね!」

「陽菜・・・・ごめん」

「あんたが、謝ることじゃないでしょ!さっさと食べよ!
 怒ったら、お腹がすいたわ!」

「うん、いただきます」

薫を失った今、こうして陽菜が側に居てくれて、本当に良かったと
陽菜に感謝する翠だった。

陽菜は、どうにか夏ごろには就職を決めたが、就活の忙しさで
彼氏とすれ違いになり、結局別れてしまった。

そのせいか、翠が薫と別れてから、心配もあって、毎日陽菜は
アパートを訪ねて来ていた。

そろそろ、翠も元気を取り戻さなくちゃならないと思いながら
なかなか前に、進むことが出来ないでいると、

「ねぇー翠、何か卒業までの間にしてみたら?」

「何かって?」

「うん、こんなのがあるんだよ。知っていた?」


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