月灯りに照らされて
選挙結果は、自由党の圧勝で、自由党は野党から与党に返り咲いた。

選挙も終り、一息ついたので、久しぶりに沙織と、ランチして今日は
実家にお泊りする予定だった。

「おめでとう、旦那さん、良かったね!」

「うん、ありがとう・・・」

「なんか、元気ないわね・・・疲れたの?」

「ううん、なんか、私って、薫さんの役に立っているのかなぁー・・・」

「どうしたのよ、急に!」

「だってね・・・」
私は、事務所で聞いた話を、沙織に聞いてもらった・・・。

「それで、落ち込んだ麗華は、どうしたの?」

「うん、その夜、薫さんが帰って来るのを待って、『私って、役に
 立ってませんか?』って聞いたの・・・」

「えっ、そんな事聞いたの。あの選挙運動期間中に!」

「だって、不安だったんだもん・・・。」

「そしたら、旦那さんは、なんて?」

「うん、大丈夫だよ!って、初めてなんだから仕方ないよ!って
 言ってくれたんだけどね、その後も、なんか事務所の中が、
 ギスギスした感じだったんだけど、薫さん達が、地方応援から帰って来た
 翌日に、秘書の三枝さんが、知り合いからの差し入れで、『栄養ドリンク
 とはちみつレモン』を、沢山持って来てくれたの。そしたら事務所の
 皆が、喜んで、あんなにギスギスしていた、後援会の奥様達も
 喜んで、それが最終日まで毎日、差し入れがあって、美味しかった。
 やっぱり、人間疲れている時は、甘酸っぱい物は、効くよね!
 そうそう、最終日なんかは、朝行ったら、お稲荷さんが沢山あって
 それも美味しかった・・・・。
 投票日は、皆さん、夜中までいるだろうからって、三枝さん、
 海苔巻きやから揚げや卵焼きなんかも用意してくれて、本当に
 三枝さん、気が利く人だったなぁー・・・」

「あんた・・・はぁー・・・」

沙織が、何でため息をついたのか、良く解らなかった・・・。
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