月灯りに照らされて
「橘です。」

「どうぞ、お入りください」

翠は、どうしたんだろう。何か悪い病気なのか・・・不安がよぎる。

「失礼します。先生、妻は、どんななんでしょう?」

手に汗を握りながら、先生の言葉を待った。

薫の頭の中には、あの時の悪夢が、蘇っていた・・・。

折角、幸せを掴み始めたばかりなのに、まだ俺達は、幸せに
浸ることは、出来ないのか・・・・。

神様、お願いですから、俺から翠を取り上げないで下さい。

「奥様は、かなりの貧血があります。そのせいで倒れたと
 思われます。私は、婦人科ではないので、明日、改めて
 婦人科の先生から、検査してもらいましょう。
 おめでとうございます。
 奥様は、妊娠されています。」

「へっ・・・妊娠ですか・・・・・・」

先生の言葉が、頭に入らなかった・・・。
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