月灯りに照らされて
その後翠は、薫と最後の夜を過ごした。

何度も、何度も躰を繋げあって、激しく求め、気が付いたら
夜が明けていた・・・。

「薫、今までありがとう。薫と過ごした時間は、一生忘れることは
 ないわ。薫、最後にお願いがあるの!?」

翠は、薫の腕枕の中で、薫に言った。

「なんだ、翠、お願いって・・・」

「うん、幸せになって欲しいの。薫が幸せであれば、私も
 幸せでいられるから・・・。お願い、奥さんになる人を
 大切にして頂戴。出来たら、愛してあげて・・・・。」

「翠・・・・・翠、これだけは、信じて。俺は、自分が
 真剣に愛したのは、翠だけだ。翠だけいれば、本当は
 何もいらないんだよ、俺の心は、一生翠だけだよ。
 それだけは、変わらないよ・・・愛してる、翠
 離れても、ずっと愛してる・・・・。」

「薫・・・・・」

薫の言葉に、何も言えなかった。

薫と別れた日、翠は、マンションに行き、自分の荷物を整理し
アパートに戻った。

マンションの鍵を、薫に帰そうと思ったら、薫が

『僕たちの、愛の証だから、このキーケースに付けたままにして』

そう言われてしまい、翠は、薫の言うがままにし、最後に

キスをして別れた・・・・。

翠と薫の恋が終わった瞬間だった・・・・・。

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