みだりな逢瀬-それぞれの刹那-
――え?私にいるのかって?もちろん、必要ないわ。
「うん、やっぱりこうでなきゃ!
いつものスタイルって、男っ気ゼロのくたびれ感たっぷりだもの。ねえ?ママ」
「そうなのよぉ。まりかちゃんてばいつも面倒がるから、ママも悲しいわ」
「多分ね、仕事ばかりしていてセンスが二の次になってるのよ。かわいそー」
「……」
本人を前にして、なんて毒舌な親子だろう。もはや開いた口が塞がらない。いや、開きっ放しだ。
「これで行かず後家だなんて、ママの娘なのに悲しいわ」
どんより重い溜め息を吐いて、残念な顔をしてくるとは失礼も甚だしいわ。
「私とは大違いね」
目の前で繰り広げられる会話が、ターゲット以上に華やかに着飾った人たちのものとは思えない。
「よけーなお世話!」
さすがにラストの発言たちには我慢ならず、私は鏡越しにふたりを交互に睨んだ。