みだりな逢瀬-それぞれの刹那-


到着したのはフロア全体が催し会場となっている38階。賑わうその場へ彼を伴って足を踏み入れた。


煌びやか照明の下で談笑するのは正装した人々。一見すると華やかな世界にも見えるが。


作り笑いを浮かべながらの誉め殺し合戦が繰り広げられているだけに過ぎない。


何が面白いのか、さっぱり分からない。むしろ下らない時間とさえ感じている。


この間にも案件のひとつが片づいただろうに、とひっそり悪態をつく私もそのひとりか……。



その時、「まりか」と背後から呼ばれて後ろを振り向いた。その顔にはもちろん、不機嫌さを存分に滲ませて。



「皇人、何が目的?」

「ホストに見せる顔じゃないな。折角のドレスも台無し」

「よく言うわ。――腹黒男」

悪態をついても許される相手。それが声を掛けてきた今宵の主催者こと、いとこの皇人だ。


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