みだりな逢瀬-それぞれの刹那-
自嘲したあと内線で秘書室にコーヒーを頼み、私は元いた席へ腰を下ろした。
「……で、用件は?」
暫くして若い女性秘書がコーヒーを運んでくれたので、それを飲みながら問い質す。
ウェッジウッドのカップを手にしていた彼の眼がゆっくりとこちらに向く。
「あと5分」
「は?」
「あ、あと4分弱ってとこか」
「なにが!?」
呑気に言うものだから、こちらの方がつい声を荒立ててしまう。
「あと2分」
「はあ!?」と、要領の得ない私の機嫌はますます悪くなるばかり。
「あと30秒」
その言葉を口にした瞬間、カップをソーサーへ置いた彼が立ち上がった。
こちらへやって来たかと思えば、私の身体はソファへと一気に沈められてしまう。
「ちょっ、ちょっと!」
さらにその上へ跨り、覆い被さって来たのが皇人。ふたり分の重みでソファのスプリング音が大きく鳴った。