奪取―[Berry's版]
 もし、自分の身近で、大切な人に取り返しの付かないことをしたら、絹江はどうするか。周りは自分に責任はない、忘れろという。だが、自分は納得できないのだ。そんな時、絹江ならどう思い前に進むのか。
 あまりにも突然で、抽象的な問いだ。口にしてしまってから、喜多は気まずさを感じ、眸を伏せる。僅かに逡巡したのち、絹江は眉を下げ口を開いた。

「私は、忘れられないと思う。だって、自分の大事な人なんでしょう?離れてしまうのが、最良の選択なんだろうけれど……逃げられないってことは、それほどに相手が好きなんだと思う。だから、過ちを犯した自分も許せないのよ。……無理よ。それは忘れられないわ。周囲がなんと言っても。結局、物事って自分次第でしょう?自分の人生だ者。他人にどう思われるか、他人がどう言ったからじゃないわ。最終的には自己満足になってしまうけれど。私はきっと誠意を持って、どこまでも接してゆくと思う。償いって訳じゃないけれど。それこそ、自分が納得できるまで、ね」
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