奪取―[Berry's版]
※※※※※※

 絹江は本日最後の生徒達の背中を見送りながら、夕食の献立を考えていた。今日の喜多は、早めに帰宅できるだろうかと、彼の帰宅時刻も思い浮かべながら。
 最近では、喜多が絹江を待ち伏せしていることはほとんどなくなっていた。喜多の仕事が忙しい状況は続いているが、理由はそれではない。絹江が、自ら喜多の家へ足を運んでいるからだった。
 先日、1週間振りに喜多の自宅へ泊まった絹江は、自分でも驚くほど熟睡していた。喜多もそれは同じだったらしく。けたたましく鳴り響く訪問を知らせるチャイムに、ふたりは目を覚ましたのだった。訪問者は喜多の秘書。予定時刻になっても現れない喜多を心配し、来訪したのだ。
< 191 / 253 >

この作品をシェア

pagetop