奪取―[Berry's版]
 喜多の言葉に、互いは笑みを交わす。

「背中を押した責任として、ふたりの幸せな姿を見届けたいものね」
「感謝しているよ。あの時の春花には」
「当たり前よ。――最終報告は期待しているわよ」

 春花は、散らばる報告書を指で叩き鳴らした。言葉で答えることはなく、喜多は心の中で呟く。だからこそ、今回の件に俺は手を差し伸べたのだから、と。だが、これ以上は、春花の知らなくていいことだ。
 喜多は表情を真剣なものへと変える。

「こっからは別件だ。来週末のオープニングセレモニー。よろしく頼む」
「もちろん、いいステージにするわよ。本部長殿」

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