奪取―[Berry's版]
 ――今日の仕事が終わるのは何時予定?もし、都合が良ければ。夕食を一緒にどうだい?

 絹江は携帯電話を片手に、本日の予定表を思い浮かべる。夜間授業を控えている本日、最後の生徒を見送るのは8時過ぎになるだろうか。その後の予定は、特にない。返信画面へと切り替え、内容を打ち込もうとしたところで、受講開始のチャイムが室内に鳴り響く。
 諦めのため息をひとつ零し、絹江は携帯電話の画面をそのままに。元々置いてあったテーブルの上へとそれを戻したのだった。
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