奪取―[Berry's版]
「ブランクのあるビギナーの絹江さん。ベッドの中で、目の前に居る異性以外の名前を出すことも、他の男の存在を思い出すことも。マナー違反だ。よく、覚えておくといい」
「……ベッドマナーをよく知る、ベテランの喜多さん。同意のない性行為は罪に問われても文句は言えませんよ」
「心外だな。きぬちゃんは、本気で嫌なの?俺のことが嫌い?」
眸を三日月の形に変え、喜多は問う。それは、余裕すら感じさせて。絹江は思わず自身の唇に歯を立てていた。喜多は分かって聞いているのだ、絹江の答えを。
絹江とて、喜多を嫌いではない。むしろ好きだと言ってもいい。だが、それは友情としての好意だ。……いや、その好意の中に、愛情がゼロパーセントなのかと問われれば、はっきりと否と答えられないだろう。
「……ベッドマナーをよく知る、ベテランの喜多さん。同意のない性行為は罪に問われても文句は言えませんよ」
「心外だな。きぬちゃんは、本気で嫌なの?俺のことが嫌い?」
眸を三日月の形に変え、喜多は問う。それは、余裕すら感じさせて。絹江は思わず自身の唇に歯を立てていた。喜多は分かって聞いているのだ、絹江の答えを。
絹江とて、喜多を嫌いではない。むしろ好きだと言ってもいい。だが、それは友情としての好意だ。……いや、その好意の中に、愛情がゼロパーセントなのかと問われれば、はっきりと否と答えられないだろう。