奪取―[Berry's版]
8.奪取
 心窩部あたりにある結び目に、喜多の手が伸びる。帯揚げが解かれ、ガーゼも枕も取り払われたことで、お太鼓は重力に逆らうことなく簡単に崩れてしまう。もちろん、身体を動かし、絹江も協力していることが前提ではある。小さな音と共に、接続部を捻り、ベルトが緩む。徐々に顕になってゆく素肌。役目を終えたラッピングのように、ベッドに広かる着物たちを、喜多は目障りだと言わんばかりに、脇へ落としてゆく。それを視線で追っている絹江の耳元で、喜多は囁く。

「後のことは考えない。今は、俺に集中して」

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