吸血鬼は淫らな舞台を見る
店主がアメリカのシカゴ・カブスに吸収された元阪神タイガースの黒と黄色の縦縞のハッピを着て商売をしていることから、サトウと瑠諏は1軒目のスポーツ用品店から早々と退散した。
「あれくらいの意気込みがないとこんな小さな町で店は経営できないだろうな」
サトウがヤレヤレといった感じで店主から浴びた熱を冷ますように口から長いため息を吐き出した。
2軒目の店は『ミヤビスポーツ』という看板がなかったら普通の住宅と見まがうほどの貧相な店だった。
出入口はアルミ枠の引き戸。ガラス窓には有名なスポーツ選手の日焼けしたポスターが貼られていた。