吸血鬼は淫らな舞台を見る
4坪ほどの店内には野球道具中心に商品が並び、ジャージ類やスパイクは箱詰めのまま積み上げられている。
「いらっしゃい」
70過ぎくらいの腰の曲がったお婆さんが無愛想に出迎え、サトウと瑠諏をギロッと睨み、金属バットが立てかけてある奥に移動した。
スーツ姿とロングコートを羽織ったスポーツとは縁遠い格好の2人組がやってきて、強盗の可能性が頭を過ぎったのか警戒している。
「警察の者です」
「何の用だい?」
サトウは縦開きの警察手帳を提示してすぐに警戒心を解こうとしたが、お婆さんからの疑念の視線に変化はなかった。