吸血鬼は淫らな舞台を見る


 瑠諏は本棚に寄り添い、本の背表紙を指でなぞると適当に3冊抜き取ってペラペラと捲った。


「どれも新品同様で熟読している形跡はありませんね」


「大切に読んでいるんじゃないのか?」


「そうかもしれません」

 瑠諏が感情のこもってない答え方をした。


「普通に戻ったな」


「普通?」


「由貴さんに質問しているとき、なにか焦っているような気がしたぞ」


「今回の事件はあまりお役に立てそうもないので、そんな風に見えたんじゃないですかね」

 瑠諏が冗談っぽく言い返す。
< 169 / 421 >

この作品をシェア

pagetop