吸血鬼は淫らな舞台を見る
「奥さん、念のためにブラシから髪の毛を採取しておきたいので案内してくれませんか?」
「……はい」
原田のひと言で書斎から離すことに成功したが、警察の曖昧な対応に由貴は冷めた態度で原田を連れていった。
書斎は6帖の広さがあって、床から天井すれすれまで高さのある書棚が両サイドから挟み込み、豊富な量の本を詰めていた。
中には漫画本もあったが『数式による株式相場の連動性』など硬い題名のHOW TO本から、歴史や文学などの蔵書まで揃っていた。
入口から突き当たりの窓に一人分の机と椅子が置いてあり、所在が掴めない主を待っている。