吸血鬼は淫らな舞台を見る


「なにかと狙われる存在だからな」

 まさか吸血鬼に狙われるのを防ぐためだとは言えず、サトウは曖昧な答え方をしたが、意を決した。

「宮路晋吾はお金の工面がつかなくなって自ら行方をくらました可能性も出てきたな。そしておまえにはつらいことかもしれんが、州政府が配っている血液ではものたりない欲張りな吸血鬼が宮路を脅していたとなれば大問題だ」

 結局は思ったことを素直に口にした。

 次に瑠諏がどんな反応をするのか試したかった。


「例え追っている犯人が吸血鬼だとしても私のやるべき仕事に変わりはありません。法を守れない吸血鬼は警察へ突き出してやります」
< 179 / 421 >

この作品をシェア

pagetop