吸血鬼は淫らな舞台を見る
事件発生当時よりもさらにブロック塀が崩れ落ちている小屋を目にしたサトウは、若い制服警官の時代にタイムスリップしたような感覚に囚われた。
凄惨な殺人現場だという先入観がそうさせるのか、屋根がない小屋に陽が射し込んでいても暖かさがまったく感じられない。
瑠諏はさっそく黒いシミの前に片膝をつけ、穴が開くくらい凝視すると不衛生なコンクリートの床に舌をつけ根まで出してたっぷり舐めた。
サトウはしかめそうになる自分の顔の筋肉を引き締めて瑠諏を見守った。