吸血鬼は淫らな舞台を見る


「確かこの辺だな」


 実った穂の重さに耐え切れなくなり、先端をもたげるアシに覆われた土手のところで車を停めた。


「あそこだ」

 車を降りたサトウは土手と川の間を指さす。


 僅かに灰色のブロックで囲った小屋らしきものが目視できた。


 2人は草を掻き分けて小屋を目指す。


 茂みの中を突き進んでいくとアシが倒され、空き地になっている場所へ出た。
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