あの頃…
「そう。じゃあ黒崎君にさっさと代わりの人員手配してもらおうかしら」

3月が海斗の言う様に忙しいし

黒崎病院に慣れてきたころに海斗が帰ってきてはあまり意味がない

「でも、3月って言ったら、あれね、黒崎先生」

神宮寺の瞳が真っ直ぐに見つめてきてふと再び資料に視線を落とす

「ああ…」

3月後半

順調にいけばあのじゃじゃ馬が帰ってくるだろう

待ってるから

そう言ったのは自分で

見上げてきたブラウンの瞳は、少し安心したようにも見えた

出迎えられなかったら怒るだろう

安堵と驚きのない交ぜになった顔をするじゃじゃ馬が思い浮かぶようで

うまくなだめる方法でも考えておくかと

白い天井を見上げながら思った

ああ、こうやって十分振り回されているのだと

諦めとともに思いながら
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