Bloom ─ブルーム─
ずっと長谷川大樹に背を向けて空を見上げていたのに、いつの間にかすぐ隣まで来ていた彼は、隣から私を見ていた。
まともには顔を見れないけど、視界の片隅に彼が入り込む。
「私には関係ないけど、でも、それで、長谷川先輩は楽になれますか?後悔しませんか?
1人が辛くはないですか?」
「辛いって言ったら、また送ってくれる?」
「いやですよ、2人乗りは。あの坂道苦しいんだから」
「じゃあ、歩こうか」
「そ、そういうのは、そういうのは、す、好きな女の子と一緒にすることです!」
私は今日初めて、長谷川大樹の顔を真正面から見た。
いつもみたいに、どうせへらへら笑ってるんでしょ?誰にでも向ける余所行きの笑顔で、滑稽な私を見てるんでしょ?って、思ってた。
でも、そこにいた長谷川大樹は、想像してたのとは全然違う顔をしていた。
真剣な表情。
慎重に言葉を探してる風。
「あのさ」
「飛行機雲が!あって、これはすごいと思ってて、あの、見てください。あそこ、ほらあっちの方にずーっと続いてて、それで」
焦った。
あんまり深刻そうに口を開くんだもん。
あのさ、の続きが、私にとっていいものじゃないって咄嗟に感じとってしまった。
まともには顔を見れないけど、視界の片隅に彼が入り込む。
「私には関係ないけど、でも、それで、長谷川先輩は楽になれますか?後悔しませんか?
1人が辛くはないですか?」
「辛いって言ったら、また送ってくれる?」
「いやですよ、2人乗りは。あの坂道苦しいんだから」
「じゃあ、歩こうか」
「そ、そういうのは、そういうのは、す、好きな女の子と一緒にすることです!」
私は今日初めて、長谷川大樹の顔を真正面から見た。
いつもみたいに、どうせへらへら笑ってるんでしょ?誰にでも向ける余所行きの笑顔で、滑稽な私を見てるんでしょ?って、思ってた。
でも、そこにいた長谷川大樹は、想像してたのとは全然違う顔をしていた。
真剣な表情。
慎重に言葉を探してる風。
「あのさ」
「飛行機雲が!あって、これはすごいと思ってて、あの、見てください。あそこ、ほらあっちの方にずーっと続いてて、それで」
焦った。
あんまり深刻そうに口を開くんだもん。
あのさ、の続きが、私にとっていいものじゃないって咄嗟に感じとってしまった。