Bloom ─ブルーム─
「じゃあ、今日もこれから録音ですか?」

スマホを忘れたのを思い出したのも、録音したかったからかも。

私、邪魔だったかな。もうここを離れた方がいいのかも。

けど、そう思う頭とは反対に、私の体はまだここから離れたくないって言ってる。

もう少し、この人の話が聞きたい。

もう少し、知りたい。

「いや、今日はあてはなく」

ふと優しい笑みをこぼした彼に、ほっとしてる自分がいた。

「私、きっとカラオケ大会に出てまた歌うとばかり思ってました」

「あー、俺、あのノリ苦手なんだよね。バンドの奴らと一緒にステージ上がる時は別の俺になりきってるから平気なんだけど、普通に1人でカラオケとか無理。

けど体育館行ったら絶対歌わされるから、逃げてきちゃった」

変なの。

「ぷぷっ」

あんなに挑発的な顔して、自信満々にマイク持ってたくせに。

歌うのも大好きだって言ってたのに。

ビッグになってやるって豪語したばかりなのに。

「シャイなんだよ?僕」

「プププッ」

ピアスいっぱい開けた茶髪の兄ちゃんのセリフとは到底思えない。

「人を見かけで判断してはいけません!」

「くくくっ。はい」

「あ、ところでキミは?なんでさっきあんなとこにいたの?」
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