Bloom ─ブルーム─
急に静まり返った休憩室。

まだ飲んでいなかったカフェオレにストローを差し、クビッと飲み込む。

考えたくない事ばかり考えてしまった直人の気持ちを今更ながら理解。

こんな静かなとこでひとりぼっちだと、自分が悲劇のヒロインみたいな気がしてくる。

カチッカチッと、時計の秒針の音まで、耳障りなくらいに聞こえてくる。

そして思い出すのは、長谷川大樹の顔。

何かを言いたげに口を開いて、また閉じた、あの時の顔。

一瞬だったけど、確実に目が合った。

女の子にビンタして、ビンタされて、先生に連れ去られるって、やっぱ引くよね?

もう今さらだけど。

直人の胸ぐらつかんだのも、チャリ本気でこいだのも、ラーメン完食したのも全部見られてるし。

カチッカチッ。

ダメだ。止まることのない秒針の音が気になって仕方ない。

壁に掛けられた音の主に目を向けた。

バスまでまだ30分以上もある。

無駄に考えるのが嫌になった私は、隅の椅子まで移動すると、隣の壁に頭をもたれて目を閉じた。

カチッカチッ。

今度はなぜだか子守唄のように聴こえてくる。



心地よい睡魔が襲ってきた。




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