弁護士先生と恋する事務員
そして運命の月曜日。
青い空、白い雲。
歩きなれたいつもの商店街を、
強い日差しにも負けないぐらい、私は気合を入れて歩いていた。
部屋の中はピカピカに掃除したし、今夜のメニューもばっちりだ。
髪はツヤツヤに光っているし、メイクも気合の入ったナチュラルメイク。
今日はがんばろう。
一生分の運を使い果たしてもいいから、
先生に好きって言うんだ。
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ガチャ。
ん、あれ?
事務所のドアに鍵を差し込んで回しても、いつものように開かない。
おかしいな。
もう一度逆に回すと、今度は開いた。
週末、施錠し忘れて帰ったとか!?
誰だー、最後に事務所出たのは!
なんとなく胸のザワつきを感じながら足を踏み入れると
いつもは誰もいない事務所に、もうすでに人影があった。
―――しかも三人も。
ガラスブロックから差し込む白い光の中にいたのは
剣淵先生と、よく似た先生のお父さん。
そして、もう一人、見た事のない女の人が立っていた。
ふんわりとした緩い巻き髪、適度にボリュームのある女らしいスタイル。
大きくてキラキラと輝く瞳、色っぽくぽってりとした唇。
それは、完璧と言っていいほどしなやかで美しい、大人の女性だった。
―――こんなにきれいな人、テレビや雑誌でしか見たことがない。
ドキドキドキドキ……
ざわめく鼓動が胸に刺さって痛みさえ感じる。
先生と並んで笑い合うその人は、私の入る隙間なんて一ミリも残されていないほどお似合いで―――
入口で硬直している私に気づいた先生は、
「おい、詩織。どうした、こっちに来い。」
私はガチガチに緊張してしまって、それでも何とか近づいて
無理やり笑顔を作って、二人に挨拶をしたのだった。