時を超えた愛~新選組と私~【完】

それは突然のことだった。


山南さんは“江戸へ行く”と置き手紙を残していなくなってしまったのだった。


山南さん以外の幹部の皆が集まっていた。


「トシ、困ったことになったな…」


「あぁ…脱走は、な」


そう。脱走は死罪になるのだった。


「総司。お前が山南さんを見つけて来い」


「…はい」


沖田さんは山南さんに弟のように可愛がられていたため、山南さんの脱走は沖田さんにとって、とても悲しい出来事だった。


「ごめんなさい……」


あたしは小さな声で皆に謝った。


「何で莉世が謝るんだよ!」


「そうだぞ?莉世ちゃんが悪いわけじゃねぇだろ」


平助くんや永倉さんが優しい言葉を掛けてくれる。

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