他人格的適合者(タジンカクテキテキゴウシャ)『短編』
青ざめている俺の後ろに、ぶつぶつと自分に言い聞かせながら、立ち上がった純一郎が近づいてくる。

「学生が一番…学生が一番…学生が一番…お嬢様をお守りできる…」

そう何度も頷くと、純一郎は俺に向かって、駆け寄った。

「大丈夫ですか?お嬢様様」

俺は震える手で、校舎を指差し、

「じ、銃が…」


「あ、ああ…」

純一郎は、俺の指差す方を見て、

「多分…剣じいですね」

にこにこと笑顔を浮かべる純一郎は、別に大したことないと、平然としている。

「ひ、ひとが撃たれたんだぞ!」

俺の焦りに、純一郎は笑顔で答える。

「本当なら、お嬢様に近づくだけで、銃殺ものなのですが……麻酔銃です。ご安心を!」

純一郎が背後を睨むと、

どこからか屈強な学生達が三人出てきて、倒れている生徒を抱き上げた。

「連行しろ!」

俺と話す時と違い、どすのきいた声で、男達に命令した。

「この学校には、お嬢様を守る為に、いろんな者が、潜んでおります」

純一郎の話の途中…俺に向かって、蜂が飛んできた。

すると、また銃声が響き、

俺の目の前で、蜂が粉々になった。

銃声は、校舎からでなく…
その横の体育館の屋根からした。

俺が顔を向けると、またさっと消えた。

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