他人格的適合者(タジンカクテキテキゴウシャ)『短編』
「トラが…やられただとありえん…」

通信機を握りしめ、ライフルを屋上から向け、学校内を伺っていたタマは、驚愕していた。


「タマ隊長!」

「どうした!シャム!」

通信機から悲痛な声が、聞こえた。

「隊は…全滅……。や、やつがあああ!」

断末魔の叫びを残し、シャムの通信が切れた。


「シャム!シャム!」

タマは、通信を切り替えた。

「ショート!ショート!」


次々に隊員に、呼び掛けるが、応答がない。

「我が隊が、全滅だと!?」

タマは、通信機を捨てた。

「猫のように、素早く…猫のように、クールで…猫ように…愛らしくをモットーにしている我が隊が…!!」

突然後ろから、殺気を感じ、タマは振り返った。

「いない!」

と呟いた時には、タマはすぐに、横に銃口を向けた。

タマの眼球が、上に飛び上がる残像だけをとらえた。

「チッ!」

素早く銃口を、上に向けたが、タマの目には、雲一つしかない青空しか映らない。

「どこに?」

と素早く索敵行動を取ろうとしたタマは、激痛に見舞われた。

男の急所。

それは、前から撃たれたとか、蹴られたではない。

あきらかに真下から、至近距離で、撃たれたのだ。


「な…」

あまりの激痛の為、意識を失っていくタマは、何とか下だけを確認した。 

白髪の老人が、股の間から、タマの顔を見上げており……銃口は、股の下に向けられていた。 


「無念…」

タマが、気を失い…崩れ落ちた時には、

剣じいを立ち上がり、屋上から煙のように、消え去った。





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