たなごころ―[Berry's版(改)]
「大事な孫のためにと、その時会長職に就いていた祖父は金に糸目をつけなかった。お陰で。その少年も友人も、無事に親の元へ帰ることが出来た。しかし、その事件から彼の周囲は一変したんだ。まず、友人の親の見る目が変わった。友人が距離を置くようになった。純粋に、その少年が好きだからと言う理由だけで傍に居てくれる人はいなくなったんだ。
いつ、事件に巻き込まれるか分からない。危険性を孕んだ少年。周囲からの認識は、そう変わってしまっていた。今までも、憶測はあったかもしれない。一般の家庭の子供とは違うと。しかし、前例が出来てしまったことで、周囲の警戒は深まっていった。その危険性を鑑みても。少年には利用する価値がある。そう考えた人間だけが。少年の周りには残ったんだ。
感じるのは、親しみある視線じゃない。何かを要求して、隙あらば、何かを奪い取ってやろうとする。そんな視線だ」
「箕浪さん……」
「周囲の変化を感じ、視線の変化を感じ。少年は部屋へ篭りがちになった。そんな彼を理解し、救ってくれたのが。幼馴染の少女と、従兄弟の少年。そして祖父の存在だった。祖父は彼の居場所になるようにと、少年が好きだった本を集め古本屋を作り。人と接する機会が少しでも増えるようにと探偵事務所を作った」
いつ、事件に巻き込まれるか分からない。危険性を孕んだ少年。周囲からの認識は、そう変わってしまっていた。今までも、憶測はあったかもしれない。一般の家庭の子供とは違うと。しかし、前例が出来てしまったことで、周囲の警戒は深まっていった。その危険性を鑑みても。少年には利用する価値がある。そう考えた人間だけが。少年の周りには残ったんだ。
感じるのは、親しみある視線じゃない。何かを要求して、隙あらば、何かを奪い取ってやろうとする。そんな視線だ」
「箕浪さん……」
「周囲の変化を感じ、視線の変化を感じ。少年は部屋へ篭りがちになった。そんな彼を理解し、救ってくれたのが。幼馴染の少女と、従兄弟の少年。そして祖父の存在だった。祖父は彼の居場所になるようにと、少年が好きだった本を集め古本屋を作り。人と接する機会が少しでも増えるようにと探偵事務所を作った」