たなごころ―[Berry's版(改)]
「……風邪に罹ってしまったんですよ。箕浪さんは。一時の感情です。惑わされないでください。それに……箕浪さんには、鈴音さんが居るじゃないですか」
「あいつとは、もうとうの昔に終わってる。前にも言っただろう」
「鈴音さんも、箕浪さんのお父さんも。そうは思っていないんじゃないですか?先日、会社へ呼ばれたのがいい証拠でしょう」
「――猪俣笑実。今、笑実が口にしてるのは、周囲のことばかりだ。違うだろう?お前の気持ちは、どこにある」
箕浪の問いに、笑実はようやく彼を視界へ捉える。零れそうな涙を湛えた眸で。勢いよく、肩に添えられていた箕浪の手を払いのけて。
「私は!私には無理だって言ってるじゃないですか!大体、箕浪さんのお守りはアルバイト中だけでお腹いっぱいなんですよ」
「お守りって……」
「箕浪さん、言ってましたよね!?貴方はどこぞの御曹司なんでしょう?立派な実家があるんでしょう?私とは、住む世界が違うってわかりませんか?私は、ビルを見上げる人間で、箕浪さんはビルの中から見下ろす立場の人間なんですよ!ちゃんと、箕浪さんとつり合うような人と付き合ってください。私を巻き込まないでください!」
「あいつとは、もうとうの昔に終わってる。前にも言っただろう」
「鈴音さんも、箕浪さんのお父さんも。そうは思っていないんじゃないですか?先日、会社へ呼ばれたのがいい証拠でしょう」
「――猪俣笑実。今、笑実が口にしてるのは、周囲のことばかりだ。違うだろう?お前の気持ちは、どこにある」
箕浪の問いに、笑実はようやく彼を視界へ捉える。零れそうな涙を湛えた眸で。勢いよく、肩に添えられていた箕浪の手を払いのけて。
「私は!私には無理だって言ってるじゃないですか!大体、箕浪さんのお守りはアルバイト中だけでお腹いっぱいなんですよ」
「お守りって……」
「箕浪さん、言ってましたよね!?貴方はどこぞの御曹司なんでしょう?立派な実家があるんでしょう?私とは、住む世界が違うってわかりませんか?私は、ビルを見上げる人間で、箕浪さんはビルの中から見下ろす立場の人間なんですよ!ちゃんと、箕浪さんとつり合うような人と付き合ってください。私を巻き込まないでください!」