たなごころ―[Berry's版(改)]
※※※※※※
「ったく、どこで何してるんだか」
携帯電話を耳にあて、箕浪はひとり愚痴る。先ほどから呼び出している相手は、他でもない。笑実だ。数日前、笑実本人から手に入れた、彼女の携帯電話の番号。箕浪は先ほどから何度もその番号へ電話を掛けていた。だが、一向に。彼女が電話に出る気配はない。
携帯電話を肩に挟み、箕浪は腕時計へ視線を落とす。既に、予定の時刻を過ぎようとしている。鈴音との会話に時間を取られ、更には笑実と逸れてしまったことが。今のような事態を招いた原因であることは明らかだ。全ては箕浪の不足の致すところでもある。
箕浪は苛立たしさを顕に、舌を鳴らす。仕方なく、笑実への連絡を諦めて。箕浪は違う番号を呼びだした。その相手は、箕浪からの連絡を待っていたのだろう。ワンコールも置かず、呼び出し音は途切れることとなる。
「箕浪、連絡が遅いぞ。浮かれてるのか?」
「悪い。猪俣笑実と逸れたんだ。会場から帰っては居ないと思うけれど……。喜多、笑実の居場所。確認できるか?」
「ったく、どこで何してるんだか」
携帯電話を耳にあて、箕浪はひとり愚痴る。先ほどから呼び出している相手は、他でもない。笑実だ。数日前、笑実本人から手に入れた、彼女の携帯電話の番号。箕浪は先ほどから何度もその番号へ電話を掛けていた。だが、一向に。彼女が電話に出る気配はない。
携帯電話を肩に挟み、箕浪は腕時計へ視線を落とす。既に、予定の時刻を過ぎようとしている。鈴音との会話に時間を取られ、更には笑実と逸れてしまったことが。今のような事態を招いた原因であることは明らかだ。全ては箕浪の不足の致すところでもある。
箕浪は苛立たしさを顕に、舌を鳴らす。仕方なく、笑実への連絡を諦めて。箕浪は違う番号を呼びだした。その相手は、箕浪からの連絡を待っていたのだろう。ワンコールも置かず、呼び出し音は途切れることとなる。
「箕浪、連絡が遅いぞ。浮かれてるのか?」
「悪い。猪俣笑実と逸れたんだ。会場から帰っては居ないと思うけれど……。喜多、笑実の居場所。確認できるか?」