たなごころ―[Berry's版(改)]
「私が依頼した件と。今回、学が関わった件。どちらが先に受けた案件ですか?」
「……この仕事には、守秘義務がある」
「答えられないってことですね。……それなら。私が、ここに居て。驚かなかったのはどうしてですか?もしかして、私がここに居るって知っていたんですか?」
「ああ」
「それは、どうしてですか?」
少しずつ。笑実の口から零れる言葉が震えていた。溢れそうなほどの雫を湛えた眸。煌びやかな照明が反射し、場違いなほど笑実の眸を綺麗に見せていた。思わず、見惚れていた箕浪は、一度。ゆっくりと瞬きをする。
笑実の耳朶に、箕浪は手を伸ばす。数時間前、自分の手で付けたイヤリングに触れるため。箕浪の行動に怯えた笑実の身体が、僅かに距離を取る。少なからず、躊躇いを感じながらも。箕浪はイヤリングに触れた。
「イヤリング。これに、位置検索機能が付いてる」
「……そんなもの、どうして?」
「今日、彼が。狐林学がこの会場へ来ることは把握済みだった。……可能性は非常に低いだろうが。猪俣笑実の同行を決めてから、何らかの形で巻き込まれる場合も予想した。俺の勝手な判断だ。俺が勝手に、猪俣笑実に付けた」
「……この仕事には、守秘義務がある」
「答えられないってことですね。……それなら。私が、ここに居て。驚かなかったのはどうしてですか?もしかして、私がここに居るって知っていたんですか?」
「ああ」
「それは、どうしてですか?」
少しずつ。笑実の口から零れる言葉が震えていた。溢れそうなほどの雫を湛えた眸。煌びやかな照明が反射し、場違いなほど笑実の眸を綺麗に見せていた。思わず、見惚れていた箕浪は、一度。ゆっくりと瞬きをする。
笑実の耳朶に、箕浪は手を伸ばす。数時間前、自分の手で付けたイヤリングに触れるため。箕浪の行動に怯えた笑実の身体が、僅かに距離を取る。少なからず、躊躇いを感じながらも。箕浪はイヤリングに触れた。
「イヤリング。これに、位置検索機能が付いてる」
「……そんなもの、どうして?」
「今日、彼が。狐林学がこの会場へ来ることは把握済みだった。……可能性は非常に低いだろうが。猪俣笑実の同行を決めてから、何らかの形で巻き込まれる場合も予想した。俺の勝手な判断だ。俺が勝手に、猪俣笑実に付けた」