たなごころ―[Berry's版(改)]
今までは笑実の行動を黙って見ていた箕浪だが、慌てたように笑実の両手を押さえつけた。嫌がり、箕浪の手を振りほどこうとする笑実を。箕浪は自身のジャケットを脱ぎ、笑実に羽織らせる。その上から、笑実を抱きしめた。箕浪の胸の中で、脱げ出そうと必死にもがく笑実を。箕浪は両腕できつく抱き止める。
「何やってんだよ!」
「身に着けていたくないんです!貴方から貰った物、全部!嫌なんですよ!私に触らないでください、離して!」
「落ち着けって」
箕浪の言葉に、笑実は動きを止める。顔を上げ、鋭い視線で箕浪を睨んだ。
「私を、利用したんですね。……全部、嘘だったんでしょう」
「それは、違う」
「信じられませんよ!離して!」
むせび泣きながら、笑実は膝から崩れ落ちる。笑実を抱きしめていた箕浪もまた、同様に床に膝をつく。苦悶に満ちた顔で。どうすることも出来ない自分が情けないと感じながら。笑実の首筋に、額を預ける。
笑実が落ち着きを取り戻すまで。人通りの少ない廊下で、箕浪はずっと。笑実を抱きしめていた。
「何やってんだよ!」
「身に着けていたくないんです!貴方から貰った物、全部!嫌なんですよ!私に触らないでください、離して!」
「落ち着けって」
箕浪の言葉に、笑実は動きを止める。顔を上げ、鋭い視線で箕浪を睨んだ。
「私を、利用したんですね。……全部、嘘だったんでしょう」
「それは、違う」
「信じられませんよ!離して!」
むせび泣きながら、笑実は膝から崩れ落ちる。笑実を抱きしめていた箕浪もまた、同様に床に膝をつく。苦悶に満ちた顔で。どうすることも出来ない自分が情けないと感じながら。笑実の首筋に、額を預ける。
笑実が落ち着きを取り戻すまで。人通りの少ない廊下で、箕浪はずっと。笑実を抱きしめていた。