たなごころ―[Berry's版(改)]
犀藤の言葉を。笑実は瞬きも忘れ聞き入る。自身と周囲との認識の違いに、笑実はただただ動揺するばかりだ。眉を下げたままに。犀藤は笑実の肩を、数回叩いた。
「あとは、彼らから聞いてください。今回、狐林くんの件の依頼者は私です。猪俣さんになら、話しても構わないと伝えてあります。……私は、彼らが信頼に値する人物たちだと思いますよ」
「犀藤先生……」
小さく頷いてから、腰を上げた犀藤は研究棟のある建物へと向かい歩き出していた。反対に、ダンボール箱を抱えた学の姿をも、笑実は捉える。ふたりがすれ違う瞬間。いくつか言葉を交わす様を笑実は見つめる。深々と頭を下げた学ぶに、犀藤は片手を上げ、再び研究棟へと歩みを進めた。
小さくなる彼の後姿を見つめ、振り返った学と。笑実の視線が絡み合った。
「あとは、彼らから聞いてください。今回、狐林くんの件の依頼者は私です。猪俣さんになら、話しても構わないと伝えてあります。……私は、彼らが信頼に値する人物たちだと思いますよ」
「犀藤先生……」
小さく頷いてから、腰を上げた犀藤は研究棟のある建物へと向かい歩き出していた。反対に、ダンボール箱を抱えた学の姿をも、笑実は捉える。ふたりがすれ違う瞬間。いくつか言葉を交わす様を笑実は見つめる。深々と頭を下げた学ぶに、犀藤は片手を上げ、再び研究棟へと歩みを進めた。
小さくなる彼の後姿を見つめ、振り返った学と。笑実の視線が絡み合った。