たなごころ―[Berry's版(改)]
「騙されたって知って。学の件を知った以上にショックで。悔しいのか、悲しいのか。もう、いろんな感情がマーブル模様を描くみたいにぐるぐるぐるぐるしてて。もう、箕浪さんの顔も見たくないって、言葉すら聞きたくないと思ったりもして。……でも」
「でも?」
「跳ね除けたはずの箕浪さんの言い訳を。少しでもいいから耳を傾けたいと思う自分もいるんです。箕浪さんのことだから、私を振り回すためだけの可能性だって十分あるのに。どんな言葉でもいいから。もう、嘘でもいいから。言い訳して、『違うよ。騙してなんかないよ』って言って欲しい自分も。どんなに否定しても、隠せないほどに。私の中にいるんですよっ」
笑実は掌を握り、作った拳で箕浪の肩を叩く。一度、二度と。箕浪の肩へ置かれた笑実の拳が、終には震えていた。
「分からないんです。自分でも。箕浪さんの一言に、動揺して、ドキドキしてる自分が。箕浪さんを好きになってしまったからなのか。1ヶ月の間に出来た、戯言のような関係性のせいなのか。自分でも分からないんです!」
言葉を口にすることなく、箕浪は自身の肩にあった笑実の手を取る。そのままに、箕浪は自身の左胸の上に置く。更には。反対の掌を、笑実の左胸の上に当てた。互いに、掌を通し感じる鼓動。ふたりは同じように。いつもよりも少しだけ早く感じるリズム
「でも?」
「跳ね除けたはずの箕浪さんの言い訳を。少しでもいいから耳を傾けたいと思う自分もいるんです。箕浪さんのことだから、私を振り回すためだけの可能性だって十分あるのに。どんな言葉でもいいから。もう、嘘でもいいから。言い訳して、『違うよ。騙してなんかないよ』って言って欲しい自分も。どんなに否定しても、隠せないほどに。私の中にいるんですよっ」
笑実は掌を握り、作った拳で箕浪の肩を叩く。一度、二度と。箕浪の肩へ置かれた笑実の拳が、終には震えていた。
「分からないんです。自分でも。箕浪さんの一言に、動揺して、ドキドキしてる自分が。箕浪さんを好きになってしまったからなのか。1ヶ月の間に出来た、戯言のような関係性のせいなのか。自分でも分からないんです!」
言葉を口にすることなく、箕浪は自身の肩にあった笑実の手を取る。そのままに、箕浪は自身の左胸の上に置く。更には。反対の掌を、笑実の左胸の上に当てた。互いに、掌を通し感じる鼓動。ふたりは同じように。いつもよりも少しだけ早く感じるリズム