たなごころ―[Berry's版(改)]
疲れた笑顔を、犀藤は笑実に向け、サラダを口にし始めた。ため息を零しながら食事をする様を眺めながら。笑実はこれ以上掛ける言葉が見つけられなかった。大学の特性上、研究データが重要なことは、職員である笑実も十分承知している。犀藤の気苦労を考えると、笑実は居た堪れない気持ちになった。何か力になりたいと思うけれども。専門知識のない笑実には、現実問題難しい。
心に、錘が課せられたような気分になりながらも。笑実はハンバーグの消費に取り掛かった。
※※※※※※
図書館での勤務を終え、地下鉄を乗り。笑実は――わにぶち――に来ていた。引き戸を開け、店舗へ足を踏み入れる。相変わらず、店内は静寂に包まれており、人気が感じられない。
玄関や看板のない探偵事務所と言い、この古本・貸本屋と言い。経営状況を考えると、笑実は彼らの生活が人事ながら心配になっていた。しかし、喜多が身につけているもの、そして、2階に設けられている事務所内のインテリアから見ても。彼らが生活に窮している様子は一切見受けられない。思い浮かぶ疑問に首を傾げながらも、笑実は店内の奥へと足を勧める。店主である箕浪の姿を探して。
心に、錘が課せられたような気分になりながらも。笑実はハンバーグの消費に取り掛かった。
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図書館での勤務を終え、地下鉄を乗り。笑実は――わにぶち――に来ていた。引き戸を開け、店舗へ足を踏み入れる。相変わらず、店内は静寂に包まれており、人気が感じられない。
玄関や看板のない探偵事務所と言い、この古本・貸本屋と言い。経営状況を考えると、笑実は彼らの生活が人事ながら心配になっていた。しかし、喜多が身につけているもの、そして、2階に設けられている事務所内のインテリアから見ても。彼らが生活に窮している様子は一切見受けられない。思い浮かぶ疑問に首を傾げながらも、笑実は店内の奥へと足を勧める。店主である箕浪の姿を探して。