ヲタと私は男と女。
暗くてホコリっぽい
「伊藤くん伊藤くん、シャー芯ちょーだい」
私が隣の席の彼、伊藤幸信に話しかけると、いつも無言でそれに応えてくれる。
「一本でいーよ」
静かに差し出されたシャー芯のケースを返しながら、伊藤くんの顔を覗きこんでみた。
目は合わない。
私はわざとらしく、つけまで重くなったまぶたをパチパチとまばたきしてみたけど、伊藤くんの視線は目の前の本に。
「………ねぇ、なんの本?」
「………面白い?」
「………今日ね、髪型かえてみたんだぁ」
「………そういうえば昨日さぁ……」
…………うん、全部私の独り言。