狂奏曲~コンチェルト~
「しかし、あんだけ色男だったら、もてるんだろうな」
「え?」
新はくすくす笑いながら横目で翼君を見ていた。
私の心中は穏やかじゃない。
「ほら、隣の女達がじろじろ見てる」
新に言われて翼君のほうを見れば、女の子の二人組みがじろじろと不躾な視線を向けていた。
そのことに、いらっとする。
翼君は、一人の女の子をずっと想い続けているの。
貴女達なんかに、目もくれるわけがないでしょう。
そんなことを思いながらも、叶わない恋心を抱き続ける翼君を思って胸が苦しくなる。
そして視線をずらせば、面白そうにその光景を見ている新。
はっとして、私は意識を新に戻した。
「そういう新もじろじろ見てるよ」
「ははっ、そうだな」
新と二人で、会話しながら食事を共にする。
それでも、心のどこかで背後が気になって仕方がない。
「あ、かなめ?」
「っ」
突然、声をかけられて飛び上がるほど驚いた。
だってそれは、翼君の声だったから。
おそるおそる顔を上げると、寂しそうに微笑む彼の顔がそこにあった。